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「錯覚の科学」人は見ようとしていることしか見ない

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以下はハーバード大学で1999年に行われた「錯覚の科学」という実験動画です。

「バスケットボールをしている人たちのうち、白い服を着ている人たちが何回パスしたか」を数えてみてください。白いチームですよ。パスが早いため集中して数えてみてください。そして、正解が出る前の36秒辺りになったら動画を止めてみてください。


selective attention test

 

 

正解は15回ですね。
では、この動画にゴリラが登場したのには気づいていましたか?

不注意による見落としについて

この動画(ゴリラビデオ)は「不注意による見落とし」や「変化の見落とし」とよばれる現象の実例です。

この動画の追加実験がクリストファー・チャプリスとダニエル・シモンズによって行われました。視線追跡装置を使いこのビデオを視聴している人の視線追跡を行ったところ全員がゴリラを見ていたそうです。この研究により達した結論は「人間はあることに集中していると、想定外の変化が起きた場合、それをあっさり見逃してしまうことがある」ということでした。

音の選択的注意について

パーティーなどに参加し、雑談している中で不意に何処かから自分の名前が聞こえることってないですか?他の会話はノイズとして聞こえるのに自分の名前だけはなぜかクリアに聞こえるあれです。

この現象は「カクテルパーティー」効果と言われています。

これを応用するとオーケストラやバンドで自分の聴きたい楽器の音だけ聴くということができます。その時も他の楽器の音は耳の鼓膜を振動させているはずなのに気にならないですよね。

この「選択的注意」と「不注意による見落とし」は本質的には同じことが言えるのではないでしょうか?

おすすめの書籍

これらの認知科学についてもう少し詳しく知りたい方におすすめの書籍です。

上の説明でも登場したクリストファー・チャブリス&ダニエル・シモンズによる書籍です。いくつかの具体的な事例を元に人間の脳の限界や、認知の落とし穴を明らかにしていきます。

こちらの書籍はウェブを初めとするインタフェースデザインについて、認知て科学的なアプローチで解説したものになります。ゴリラビデオの例は、アイトラッキングテストの注意点の説明として上げられています。それ以外にも興味深い内容が多く、デザイナでなくても面白く読めると思います。

さいごに

子供と歩いていると街中の景色に溶け込んだすごく小さな「アンパンマン」を見つけることがあります。これも選択的注意に寄るものでしょうか?

僕はこの現象を「街中アンパンマン効果」と呼んでいます。